●「なぜ作曲家になるために耳コピの訓練が重要なのか」
今日は将来作曲家を目指す皆さんが一度は聞いたかもしれない「耳コピ」についてお話ししたいと思います。
作曲と聞くと0から1を生み出す作業のようなイメージがあると思います。
一方、耳コピと聞くと、主にインプットの作業をイメージすると思うので、多くの初心者の皆さんは、この「作曲」と「耳コピ」に重要な関係性があるとは思わないのではないでしょうか?
しかし、多くの著名な作曲家の方々は、「作曲家になるために必要な3つのこと」として、以下の項目を挙げています。
①音楽理論
②耳コピの訓練
③メロディーメイクを中心とした作曲
なぜこれほどに「耳コピ」の訓練が重要視されるのか? 私の意見はこうです。
作曲と聞くと、上記で述べたとおり0から1の作業をイメージするわけですが、実際のところ本当の意味でゼロから1を作っているかと言うとそれは違うような気がするのです。と言いますのも、作曲家の頭から出てくるメロディーは、あくまでその作曲家がそれまでに聴いてきた音楽のストックに過ぎないと考えることもできるからです。
とりわけJ-Popや映画音楽といった商業音楽の世界で考えれば、一般の人に良いと思ってもらえる音楽を作るわけですから、ある程度一般の人の耳に馴染む音楽を作ることが求められます。
私の好きな食べ物を使った比較で説明すると、、
世の中にはとっても人気のあるラーメン屋さんが少なからず存在します。彼らは、いわゆるラーメン界での一流であるわけですが、彼らのラーメンとて、大概は麺とスープ、そしていくつかのトッピングで仕上がっている。スープの属性は醤油や豚骨といった、既存のいくつかのスープの種類に属している訳で、彼らのラーメンが0から1かと言えば、決してそんなことはありませんよね?
また、ラーメン店など星の数ほどあるわけですから、その中で一流を目指すなら必ずオリジナリティーと言うものが必要にはなって来そうですよね? それは正しいのですが、注意しなければいけないのは、あくまでそのオリジナリティーと言うものは、「既存の概念をベースにした上でのオリジナリティー」であると言う点です。
実際、大概のラーメンは、上記で述べたとおり、麺とスープ、いくつかのトッピングで構成されています。
稀に、汁なしラーメンと言うのも見かけますが、さほどメジャーでは無いですし、あれをJ-Popで例えるならば、ゴールデンボンバー(演奏しないロックバンド)と言う位置どりと言えるかもしれません。
これらのことを作曲に置き換えると、良いメロディーを書くには、まずは良いメロディーの音楽をたくさん聴いて、自分の音楽性と言う名の記憶領域に、多くの美しいメロディーのストックをする必要があることとなるわけです。
そしてそれらをストックする際の情報の細かさと、スピード。それらの能力が高ければ高いほど作曲家として有利な状態を築けるわけです。
素人の我々には、このラーメンスープが醤油味なのか豚骨スープなのか、それぐらいわかります。しかし、きっとラーメンのプロは、同じ醤油味でも、どの辺の醤油を使っているのか、隠し味に何を加えているのか、それらの材料がどのように調理されているのか、トッピングには何が合うのか合わないのか、麺には、どういったものがあるのか合わないのか? そういった情報が取得できるのだと思うと、素人とプロ、たとえ同じだけの分量のラーメン屋さん(楽曲)を経験したとしても、結果取得している情報には何十倍もの差が出てしまいますよね?
ですから、早い段階である程度のレベルまでをクリアすることが望ましいのです。おそらくどれだけ真剣に取り組んでも、1年以内に大きな結果が出る事は望めないでしょう。大人から始めるならば、最低2年以上はこの分野と向き合わなければならないかと思いますので、当DTMオンラインプロフェッショナルコースでも、L2コース(トータル3年半のうち、開始から半年が経過した後のコース)から、耳コピのレッスンが始まるカリキュラムが組まれています。またこの方針は、今までに第一線の作曲家を多く輩出してきた音楽大学の作曲専攻の生徒たちが経験してきたものを模倣する形であり、いかにこれが大切かお分かりいただけるかと思います。
加えてこれが、編曲と言う分野にも幅を広げようと思った場合、さらに耳コピの能力が重要となってきます。
・ピアノと言う楽器はどのように演奏されるのだろう?
・ギターと言う楽器はどういう風に楽曲の中で使われるのか?
・ドラムは普通どんなふうに叩くのか?
・ベーシストはどのように考えて演奏する音をチョイスしているのか?
ラーメンの作り方はクックパッド見ればわかるかもしれませんが、実際にはいろいろなラーメン屋さんを巡らないと、おいしいラーメン制作のゴールにはたどり着けないことと似ている気がします。
ちなみに、音楽の耳コピというのは、英語でいうリスニングととても似ており、習得するにはとても苦労が伴います。特に大人になってからこの能力を始めて訓練する場合、おそらくとてつもない努力と時間が必要となってきます。ちょうど大人になってから、英語ペラペラを目指すことと似ているかもしれません。
そんなこともあって、昨今では耳コピをしてくれるアプリケーションなどもリリースされており、ある程度のコード進行や、メロディーなどが解析できるまでに至っている事は事実なのですが、これらが分析できる範囲は非常に限定的で、これから更にそれが進化していったとしても、結局プロフェッショナルの人たちが求められる高いレベルを代替えできるものにはならないような気がしています。
自動作曲ソフトなどもいくつかリリースされてはきているのですが、こちらも同様に、50点や、60点位の、イージーな音楽であれば自動作曲は可能であると考えますが、結局プロフェッショナルが求められる高いレベルの楽曲の制作は不可能であると思います。AIの分野の研究者たちが、今後近いうちに消滅する職業がたくさんあると予想しておりますが、その中にクリエイティブな職業が入っていないこともその証明かと思います。
つまり、耳コピと言う作業は、作曲家のプロを目指す皆さんにとっては、とてもとても大変な苦労を伴うものではありますが、残念ながら、避けて通ることのできない茨の道です。
昨今、DTMソフトの世界は色々なものがリリースされており、それらのソフトの使い方を教えることを主としている学校もあるかと思いますが、正直、そういったソフトの使い方などは、習うより慣れろの世界であるし、習得するのに、何年もかかるということはありえない。そういった意味では、プロを目指す生徒さんがすべきことは、耳コピです。
私はそのように考えます。
●なぜ作曲家になるために耳コピの訓練が重要なのか
今日は将来作曲家を目指す皆さんが一度は聞いたかもしれない「耳コピ」についてお話ししたいと思います。
作曲と聞くと0から1を生み出す作業のようなイメージがあると思います。
一方、耳コピと聞くと、主にインプットの作業をイメージすると思うので、多くの初心者の皆さんは、この「作曲」と「耳コピ」に重要な関係性があるとは思わないのではないでしょうか?
しかし、多くの著名な作曲家の方々は、「作曲家になるために必要な3つのこと」として、以下の項目を挙げています。
①音楽理論
②耳コピの訓練
③メロディーメイクを中心とした作曲
なぜこれほどに「耳コピ」の訓練が重要視されるのか? 私の意見はこうです。
作曲と聞くと、上記で述べたとおり0から1の作業をイメージするわけですが、実際のところ本当の意味でゼロから1を作っているかと言うとそれは違うような気がするのです。と言いますのも、作曲家の頭から出てくるメロディーは、あくまでその作曲家がそれまでに聴いてきた音楽のストックに過ぎないと考えることもできるからです。
とりわけJ-Popや映画音楽といった商業音楽の世界で考えれば、一般の人に良いと思ってもらえる音楽を作るわけですから、ある程度一般の人の耳に馴染む音楽を作ることが求められます。
私の好きな食べ物を使った比較で説明すると、、
世の中にはとっても人気のあるラーメン屋さんが少なからず存在します。彼らは、いわゆるラーメン界での一流であるわけですが、彼らのラーメンとて、大概は麺とスープ、そしていくつかのトッピングで仕上がっている。スープの属性は醤油や豚骨といった、既存のいくつかのスープの種類に属している訳で、彼らのラーメンが0から1かと言えば、決してそんなことはありませんよね?
また、ラーメン店など星の数ほどあるわけですから、その中で一流を目指すなら必ずオリジナリティーと言うものが必要にはなって来そうですよね? それは正しいのですが、注意しなければいけないのは、あくまでそのオリジナリティーと言うものは、「既存の概念をベースにした上でのオリジナリティー」であると言う点です。
実際、大概のラーメンは、上記で述べたとおり、麺とスープ、いくつかのトッピングで構成されています。
稀に、汁なしラーメンと言うのも見かけますが、さほどメジャーでは無いですし、あれをJ-Popで例えるならば、ゴールデンボンバー(演奏しないロックバンド)と言う位置どりと言えるかもしれません。
これらのことを作曲に置き換えると、良いメロディーを書くには、まずは良いメロディーの音楽をたくさん聴いて、自分の音楽性と言う名の記憶領域に、多くの美しいメロディーのストックをする必要があることとなるわけです。
そしてそれらをストックする際の情報の細かさと、スピード。それらの能力が高ければ高いほど作曲家として有利な状態を築けるわけです。
素人の我々には、このラーメンスープが醤油味なのか豚骨スープなのか、それぐらいわかります。しかし、きっとラーメンのプロは、同じ醤油味でも、どの辺の醤油を使っているのか、隠し味に何を加えているのか、それらの材料がどのように調理されているのか、トッピングには何が合うのか合わないのか、麺には、どういったものがあるのか合わないのか? そういった情報が取得できるのだと思うと、素人とプロ、たとえ同じだけの分量のラーメン屋さん(楽曲)を経験したとしても、結果取得している情報には何十倍もの差が出てしまいますよね?
ですから、早い段階である程度のレベルまでをクリアすることが望ましいのです。おそらくどれだけ真剣に取り組んでも、1年以内に大きな結果が出る事は望めないでしょう。大人から始めるならば、最低2年以上はこの分野と向き合わなければならないかと思いますので、当DTMオンラインプロフェッショナルコースでも、L2コース(トータル3年半のうち、開始から半年が経過した後のコース)から、耳コピのレッスンが始まるカリキュラムが組まれています。またこの方針は、今までに第一線の作曲家を多く輩出してきた音楽大学の作曲専攻の生徒たちが経験してきたものを模倣する形であり、いかにこれが大切かお分かりいただけるかと思います。
加えてこれが、編曲と言う分野にも幅を広げようと思った場合、さらに耳コピの能力が重要となってきます。
ピアノと言う楽器はどのように演奏されるのだろう?
ギターと言う楽器はどういう風に楽曲の中で使われるのか?
ドラムは普通どんなふうに叩くのか?
ベーシストはどのように考えて演奏する音をチョイスしているのか?
ラーメンの作り方はクックパッド見ればわかるかもしれませんが、実際にはいろいろなラーメン屋さんを巡らないと、おいしいラーメン制作のゴールにはたどり着けないことと似ている気がします。
ちなみに、音楽の耳コピというのは、英語でいうリスニングととても似ており、習得するにはとても苦労が伴います。特に大人になってからこの能力を始めて訓練する場合、おそらくとてつもない努力と時間が必要となってきます。ちょうど大人になってから、英語ペラペラを目指すことと似ているかもしれません。
そんなこともあって、昨今では耳コピをしてくれるアプリケーションなどもリリースされており、ある程度のコード進行や、メロディーなどが解析できるまでに至っている事は事実なのですが、これらが分析できる範囲は非常に限定的で、これから更にそれが進化していったとしても、結局プロフェッショナルの人たちが求められる高いレベルを代替えできるものにはならないような気がしています。
自動作曲ソフトなどもいくつかリリースされてはきているのですが、こちらも同様に、50点や、60点位の、イージーな音楽であれば自動作曲は可能であると考えますが、結局プロフェッショナルが求められる高いレベルの楽曲の制作は不可能であると思います。AIの分野の研究者たちが、今後近いうちに消滅する職業がたくさんあると予想しておりますが、その中にクリエイティブな職業が入っていないこともその証明かと思います。
つまり、耳コピと言う作業は、作曲家のプロを目指す皆さんにとっては、とてもとても大変な苦労を伴うものではありますが、残念ながら、避けて通ることのできない茨の道です。
昨今、DTMソフトの世界は色々なものがリリースされており、それらのソフトの使い方を教えることを主としている学校もあるかと思いますが、正直、そういったソフトの使い方などは、習うより慣れろの世界であるし、習得するのに、何年もかかるということはありえない。そういった意味では、プロを目指す生徒さんがすべきことは、耳コピです。
私はそのように考えます。
講師作品紹介
Kiroro
Uru
大竹しのぶ
Uru
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JUJU
Flower
中島美嘉
中島愛
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